穂路
たわわに実って
枯れるのを刈られるのを待っている
そもそも食われるために
生まれ育てられてきたのだから
そこは
真っ当に
そうありたいと願う。
その望みが叶わぬようなら
逃げるだろうし
無駄になろうとも
抗うのだろう。
あたしが
花を好きなのは
あたしが
すでに枯れているから
あたしが
実を好きなのは
あたしが
とっくに種を失ったから
あたしの
無色を彩る
四季を
世界を
愛でては祝福をするの。
隔たるあたしの
垂り穂の夢に
どこからでも入り込むコンバイン。
会う前から
もう夢の中で会っている。
花粉が舞う前に
藁を掴んで会いましょう。
by kojiki-tsukapi | 2016-10-28 14:56 | Comments(0)